ハイブリッドセラミックの欠点とは?ダイレクトボンディング治療で知っておきたいポイント
ハイブリッドセラミックとは何か
ハイブリッドセラミックという名前を聞くと、セラミックの一種だと思われるかもしれません。
しかし実際には、プラスチックとセラミックの混合物です。歯科用プラスチックであるレジンに、セラミックの微粒子を練り込んだ素材で、材質的にはレジンに近い性質を持ちます。
保険診療で使用されるレジンよりも審美性が高く、オールセラミックよりも費用を抑えられるという特徴があります。歯に近い適度な硬さで、噛み合う歯を傷つけにくく、耐久性もあるため、虫歯治療や審美歯科治療で広く使用されています。
当院では、ダイレクトボンディングという治療法でハイブリッドセラミックを使用しています。
型採り不要で歯を削る量が少なく、最短即日で治療が完了するのが大きな特長です。すきっ歯や欠けた歯の治療、歯の形や色を整える治療であれば、まったく削ることなく治せる場合もあります。
ハイブリッドセラミックの主なデメリット
経年的な変色が起こりやすい
ハイブリッドセラミックの最も大きなデメリットは、変色しやすいという点です。
プラスチック素材を含んでいるため、わずかながら水分を吸収します。そのため、使用していくうちに徐々に変色が起こることがあります。オールセラミックと比べて透明感と色調の細かさで見劣りするのも事実です。
特にコーヒーや紅茶、赤ワインなどの色素の強い飲食物を頻繁に摂取する方は、変色が早く進む可能性があります。
摩耗や破損のリスクがある
ハイブリッドセラミックは、オールセラミックに比べて強度や耐久性が劣ります。
プラスチック素材を含んでいるため、表面が擦り減ってしまい、装着した直後と比べてバランスが悪くなる可能性があります。噛み合う歯とのバランスが悪くなると、変に負担がかかってしまい、割れたり欠けたりするリスクは高まります。
特に数年間装着している場合、破損する可能性は極めて高いです。
二次カリエスのリスクが高まる
ハイブリッドセラミックは、オールセラミックなどの素材と比べて汚れがつきやすいという特徴があります。
これにより、二次カリエス(虫歯の再発)になりやすいのです。治療後の詰め物や被せ物の内側にプラークや細菌が侵入し、二次カリエスを引き起こすという仕組みです。
また、ある程度の強度がありますが、経年劣化による変形はそれなりに見られます。装着から時間が経つと歯と詰め物の間に隙間ができ、より二次カリエスのリスクは高くなります。
二次カリエスは詰め物の中で少しずつ症状が進行するため、定期検診に通っていなければ、発症していることになかなか気付けません。
他の材料との比較で見えてくること

オールセラミックとの違い
オールセラミックは、100%陶器の素材でできています。
審美性、機能性ともにセラミックの中で最上位に位置するタイプです。変色がほとんど起こらず、透明感と色調の細かさに優れています。強度も高く、長期間にわたって美しさを保つことができます。
ただし費用が高いのが欠点で、お手軽さが特徴のハイブリッドセラミックとは全く逆のタイプです。
保険診療のレジンとの違い
一般的に保険診療の被せ物や詰め物では、レジンと呼ばれる歯科用のプラスチックが使用されます。
レジンは耐久性が低く変色しやすいため、審美性に劣ることが知られています。ハイブリッドセラミックはレジンにセラミックを混ぜているため、レジンと比較すると審美性が高く、変色も起きにくいという特徴があります。
インレーやクラウンなどの被せ物や詰め物と比べて歯への負担が少ない治療法です。必要最小限の範囲のみを削って治療することができます。
メタルボンドやジルコニアとの違い
メタルボンドは金属のフレームにセラミックを焼き付けたタイプです。
強度が高く、奥歯などの強い力がかかる部位に適しています。ジルコニアセラミックは、人工ダイヤモンドとも呼ばれる非常に硬い素材で、強度と審美性を兼ね備えています。
ハイブリッドセラミックは、これらの素材と比べて強度は劣りますが、費用を抑えられるという大きなメリットがあります。
デメリットを補う方法と対策
適切なメンテナンスで長持ちさせる
ハイブリッドセラミックを長持ちさせるには、適切なメンテナンスが欠かせません。
毎日の丁寧なブラッシングはもちろん、デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、歯と詰め物の境目を清潔に保つことが重要です。色素の強い飲食物を摂取した後は、できるだけ早く口をすすぐことで、変色を遅らせることができます。
定期的な歯科検診も必須です。
二次カリエスは初期段階では自覚症状がないため、定期検診で早期発見することが大切です。また、プロフェッショナルクリーニングを受けることで、自分では落としきれない汚れを除去し、変色を防ぐことができます。
適応症例を見極める
ハイブリッドセラミックに使われる素材には、セラミックが含まれています。
そのため、プラスチック単体よりも強度があるのが特長です。しかし、盛り付ける範囲が広い場合は破折リスクが高まるため、セラミックやジルコニアなどより強度の高い素材を提案することがあります。
前歯のような審美性が求められる部位で、小規模な修復であれば、ハイブリッドセラミックは良い選択肢となります。一方、奥歯のように強い力がかかる部位や、広範囲の修復が必要な場合は、より強度の高い素材を検討すべきです。
クリアインデックステクニックの活用
当院では、マウスピースのようなガイド装置である、クリアインデックステクニックを使用してダイレクトボンディングを行います。
事前にシミュレーションした通りの形態を、お口の中にスムーズにトランスファーできるため、歯の形態を簡単に、より自然に再現できるのが特長です。従来のフリーハンドによる治療では難しかった、最終的形態や咬合調整も、短時間で行えます。
この技術により、ハイブリッドセラミックの弱点である強度不足を補い、より精密で長持ちする治療が可能になります。
ハイブリッドセラミックを選ぶべき人

費用を抑えたい方
ハイブリッドセラミックの大きなメリットは、治療費用の安さです。
通常のセラミック治療は保険適用外の自費診療ですが、ハイブリッドセラミックによる治療は、条件を満たした場合であれば保険診療で行うことが可能です。審美目的のセラミック矯正などは、ハイブリッドセラミックであっても保険適用外となりますが、それでもオールセラミックやジルコニアなどの素材と比較すると、比較的少ない費用負担で治療を行えます。
欠けた前歯やすきっ歯などをセラミック治療や矯正歯科治療で補う場合、費用は高額になります。ダイレクトボンディングも自費診療ですが、セラミック治療や矯正歯科治療に比べると費用をかなり抑えられます。
短期間で治療を終えたい方
ダイレクトボンディングでは、虫歯部分を取り除いた歯に直接、ハイブリッドセラミックを盛り付けます。
型採り不要で1時間ほどで終了するので、治療のために何度も通院していただく必要はありません。セラミック治療や矯正歯科治療と比べて格段に治療期間が短いので、忙しくて時間がない方におすすめです。
最短即日での治療が可能なので、急いで歯を治したい方にも適しています。
金属アレルギーの方
ハイブリッドセラミックには金属が使用されていないので、金属アレルギーをお持ちの方でも安心して使用することができます。
従来の銀歯による詰め物や被せ物は、金属アレルギーのリスクがありました。ハイブリッドセラミックは、金属を使用しないため、アレルギーの心配がありません。
ただし、レジンアレルギーの場合は治療が難しくなります。レジンアレルギーは、プラスチックの一種であるレジンに対するアレルギーです。ハイブリッドセラミックは、素材そのものにレジンが含まれているため、アレルギーがある方は別の素材を用いた治療を受けるしかありません。
まとめ
ハイブリッドセラミックには、経年的な変色や摩耗、二次カリエスのリスクといったデメリットがあります。
しかし、適切なメンテナンスと定期検診を行うことで、これらのデメリットを最小限に抑え、長持ちさせることが可能です。費用を抑えたい方、短期間で治療を終えたい方、金属アレルギーの方にとっては、優れた選択肢となります。
当院では、クリアインデックステクニックを使用した精密なダイレクトボンディング治療を提供しています。患者さまの歯の色や形にあわせて、本来の歯と見分けがつかないレベルで美しく仕上げられます。
ハイブリッドセラミックによる治療をご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたのお口の状態に最適な治療法をご提案いたします。
詳細はこちら:大澤一茂歯科医院 ダイレクトボンディング
著者情報
院長 大澤一茂

歯学博士・顎関節咬合学会専門医として、国内外の数多くの学会へ参加しています。論文発表や症例発表も積極的に行い、シーラシステムの啓蒙活動も実施。また、著書も数多くあり、精力的に知識や技術の研鑽を続けています。
- 経歴
- 1983年城西歯科大学(現:明海大学)歯学部卒業
同大学歯周病学教室入局 - 1995年歯学博士(学位取得)
- 1999年日本顎咬合学会認定医
- 2003年国際口腔インプラント専門医学会(ICOI)認定医
- 2007年日本顎咬合学会指導医
- 2009年近未来オステオインプラント学会(IPOI)指導医
- 1983年城西歯科大学(現:明海大学)歯学部卒業
- 資格
日本顎咬合学会認定医
日本顎咬合学会指導医
近未来オステオインプラント学会(IPOI)指導医 - 所属学会
スタディグループSAEY
日本顎咬合学会
近未来オステオインプラント学会(IPOI)
国際口腔インプラント専門医学会(ICOI)
