総入れ歯の安定剤の使い方〜正しい塗布方法と注意点を解説

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総入れ歯の安定剤の使い方〜正しい塗布方法と注意点を解説

 

はじめに

総入れ歯を使い始めると、「外れやすい」「痛みがある」「食事中にズレる」といったお悩みを抱える方が多くいらっしゃいます。

そんなとき、入れ歯安定剤は心強い味方になります。

ただし、安定剤の使い方を間違えると、かえって入れ歯が合わなくなったり、お口の健康を損なったりする可能性があります・・・。

今回は、歯学博士として長年入れ歯治療に携わってきた立場から、総入れ歯の安定剤の正しい使い方と注意点について詳しくお伝えします。

入れ歯安定剤とは何か

入れ歯安定剤は、入れ歯の裏側に塗布する「のり」や「クッション」のような材料です。

入れ歯が外れたり、痛みが出たりするときに補助として使用するもので、適切に使えば快適に入れ歯を使用できます。

入れ歯安定剤の目的

入れ歯安定剤を使う主な目的は、以下の3つです。

  • 入れ歯が外れやすいとき:総入れ歯の吸着力が弱い場合、粘着性のある安定剤を使うことで外れにくくできます
  • 入れ歯を使うと痛いとき:次に歯科医院へ受診できるまで期間があるとき、安定剤で入れ歯の揺れを抑えて痛みを軽減できることがあります
  • 絶対に入れ歯が外れてほしくないとき:外出時や食事会など、外れる心配を減らしたい場面で補助として使用できます

ただし、入れ歯安定剤はあくまでも一時的なサポートとして使用するもので、長期間使用するものではありません。

もし入れ歯がガタつく・噛んで痛いといった症状が続く場合は、入れ歯の調整や作り直しが必要なサインです。

入れ歯安定剤の種類と特徴

入れ歯安定剤には主に4つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。

クリームタイプ

粘着性のあるクリームを入れ歯の内面に塗るタイプです。

最も一般的なタイプの入れ歯安定剤で、コンビニなどでもよく販売されています。柔らかくて伸びるため、適合性の良い入れ歯でも使用でき、チューブから出せばすぐに使えるので外出先でも使いやすいのが特徴です。

使用するなら、主にこのタイプをお勧めしています。

パウダー(粉)タイプ

水にぬらすと粘着力が出てくるタイプです。

粉のため、最も薄く塗ることができ、入れ歯と歯ぐきの適合への影響が少ないのが利点です。良い入れ歯安定剤ですが、少し外出時に使いづらく、また取り扱っているお店が少ないため、入手性が少し悪いです。

シートタイプ

入れ歯と歯ぐきの間に1mm程度のフェルトのような粘着シートを挟み込むタイプです。

厚みが1mmもあるため、歯ぐきと適合性がいい入れ歯に対しては使用できません。歯ぐきと全然あっていない不適合な入れ歯に使用することになりますが、そもそもそのような状態の入れ歯は作り直しか修理が必要な状態です。

クッションタイプ

入れ歯の内側にクッションになるような厚みのある材料を塗るタイプです。

厚みがある材料なので、歯ぐきと適合性がいい入れ歯には使用できません。歯ぐきと全然あっていない不適合な入れ歯に使用することになりますが、クッションタイプの入れ歯安定剤を常用するのは良くありません。水に溶けないので入れ歯安定剤が入れ歯にこびりついてしまい、元の形に戻らなくなってしまうこともあります。

正しい入れ歯安定剤の使い方

入れ歯安定剤は、正しい手順で使用することが大切です。

間違った使い方をすると、効果が得られないだけでなく、お口の健康を損なう可能性もあります。

使用前の準備

安定剤を使用する前に、必ず入れ歯と口腔内をきれいに洗浄しておくことが大切です。

入れ歯の汚れや唾液の付着を落とさないと、安定剤が満足に効果を発揮しないだけでなく、口臭や歯周病の原因にもなりかねません。

クリームタイプの塗布方法

クリームタイプの入れ歯安定剤を使う場合、以下の手順で行います。

  • 入れ歯をよく洗い水分を完全にとる:水分が残っていると安定剤の効果が弱まります
  • 製品を端の方につけないようにして、1日1回塗布する:端につけると口の中に漏れ出す原因になります
  • 入れ歯を口にはめ込む前に、口内を水ですすぐ:清潔な状態で装着することが重要です
  • 入れ歯を口にはめ込み、1分間ほど軽く押さえる:製品が唾液と混ざって入れ歯と歯ぐきを接着し、すき間を密封します

適量の見極め方

入れ歯安定剤は、適量を使用することが大切です。

製品に推奨された量が記載されていますので、それに従って使用してください。過剰に使用すると、余分な安定剤が口に残ったり、入れ歯が浮いてしまって、逆に咬み合わせが悪くなったりすることがあります。

少量より使用を開始し、1日に3センチ以上使用する場合は、歯科医院を受診して調整をしてもらいましょう。

入れ歯に均等に塗布する

入れ歯安定剤を塗る際は、均等に塗布することもポイントです。

入れ歯の縁や隅々まで塗布しやすい形状のチューブタイプやペンタイプなどもお勧めです。一度にムラなく塗布できるので、固定力が高まります。

入れ歯安定剤の取り除き方

使用後は、速やかに入れ歯を洗い清潔な状態を保ちましょう。

入れ歯安定剤は、そのままにしておくと細菌の温床になります。

クリームタイプの洗浄方法

製品が口の中に残っていたら、お湯で口をすすいで製品を溶かしてから、乾いたガーゼなどで拭き取ってください。

入れ歯に製品が残っていたら、入れ歯をぬるま湯につけて製品を溶かし、乾いたやわらかい布や紙などで拭き取ってください。さらに、ブラシなどを使って流水下でよくブラッシングをしてください。

ねばねばしていますので、沢山つけすぎると確かにとるのが大変です。乾いたガーゼでぬぐっていただくと、取りやすいです。

お口の中に残っている安定剤の除去

キレイに取り除き、お口の中に残っている安定剤もティッシュや歯ブラシでキレイに落としましょう。

残っていると誤嚥性肺炎の原因になる場合があります。

入れ歯安定剤使用上の注意点

入れ歯安定剤は便利なアイテムですが、使用にあたってはいくつかの注意点があります。

長期間の使用は避ける

入れ歯安定剤はあくまでも一時的なサポートです。

長期間使用しますと歯茎が痩せたり、部分入れ歯の場合、虫歯や歯周病になりやすいです。ガタつきがある場合は、歯科医院で調整してもらいましょう。

傷や痛みがある場合は使用を避ける

傷や痛みがある場合は、使用を避けましょう。

傷がある場合は、傷の炎症を助長させてしまう場合がありますので、歯科医院を受診しましょう。

寝たきりや介護が必要な方は使用を避ける

寝たきりや介護が必要な方は、使用を避けましょう。

寝たきりや介護が必要な方は、入れ歯安定剤が喉に詰まったり、誤嚥性肺炎になる可能性がありますので、使用を避けましょう。

入れ歯安定剤は食べてしまっても大丈夫か

お口の中に入れて使う製品なので、常識的な量であれば、食べても安全な材料です。

それぞれの製品によって成分の違いはありますので、説明書をご確認いただいた上で、適切にご使用ください。

入れ歯安定剤に頼りすぎないために

入れ歯安定剤は便利ですが、本来は必要のないものです。

きっちり製作されて調整が終わった入れ歯は、総入れ歯でもほとんどの場合は入れ歯安定剤なしでもご使用いただけます。

入れ歯の調整が必要なサイン

以下のような症状がある場合は、入れ歯の調整や作り直しが必要なサインです。

  • 入れ歯安定剤を使っても外れやすい
  • 噛むと痛みがある
  • 入れ歯が浮いている感じがする
  • 食事中に食べかすが入れ歯の中に入る
  • 発音がしづらい

例えば、食事中に入れ歯の中に、ゴマや細かい食べかすが入るとなかなか外さないで取るのは至難の技です。例えるならば、靴の中に入った小石のように、あっちでコロコロこっちでコロコロするので靴を脱がないで小石を取るのは、難しいのと同じように、入れ歯でも起こります。

そのため、早めに歯科医師に相談することで不安の解消に繋がります。

定期的な歯科医院での調整

時間の経過とともに、入れ歯がゆるくなり、修理や作り直しが必要となることがあります。

以前のように入れ歯が合っていないと感じるようになったら、かかりつけの歯科医に相談しましょう。

まとめ

総入れ歯の安定剤は、正しく使えば快適な入れ歯生活をサポートしてくれる便利なアイテムです。

ただし、あくまでも一時的なサポートとして使用し、長期間の使用は避けることが大切です。

クリームタイプの安定剤を適量使用し、使用後はしっかりと洗浄することで、清潔で快適な状態を保つことができます。

もし入れ歯が合わない・痛い・外れるといった症状が続く場合は、安定剤に頼るのではなく、歯科医院で入れ歯の調整や作り直しを検討しましょう。

水戸市・赤塚周辺で入れ歯のお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。咬合診断をベースにした、しっかり噛める・痛くない・外れにくい入れ歯治療を提供しています。

適切な診査・診断をもとに、自分に合った治療方法を選択することが、長期的な満足度につながります。

安定剤の使い方に迷っている方へ

安定剤は一時的に役立つ場合がありますが、使い方や量によっては違和感につながることもあります。初診では、入れ歯の適合状態や調整の必要性も確認しています。

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安定剤が必要な状態が続くときはご相談ください

塗布方法だけでなく、入れ歯自体の適合や噛み合わせの確認が必要なこともあります。現在の状態を診ながら対処法を検討します。

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【著者情報】

大澤一茂歯科医院 院長:大澤 一茂(おおさわ かずしげ)
  歯学博士 / 日本顎咬合学会 指導医

城西歯科大学(現:明海大学)歯学部卒業後、同大学歯周病学教室に入局。1995年に歯学博士号を取得。
日本顎咬合学会認定医・指導医、近未来オステオインプラント学会(IPOI)指導医などを務め、国内外の学会での論文発表や症例発表を積極的に行っています。
インプラントや咬合治療の分野を中心に研鑽を重ね、シーラシステムの啓蒙活動や著書の執筆など、歯科医療の発展にも取り組んでいます。

患者さまが「しっかり噛める喜び」を取り戻し、日常生活の中で食事や会話を楽しめることを大切にしています。
特に総入れ歯治療では、合わない入れ歯でお困りの方が快適に噛めるようになることで、家族と同じ食事を楽しめる喜びを取り戻された患者さまの笑顔が、日々の診療の大きな励みとなっています。

また、水戸市の地域医療に貢献するため、特別養護老人ホームへの訪問歯科診療や定期検診にも取り組み、患者さまと長くお付き合いできる歯科医院を目指しています。
お口の健康を通じて、地域の皆さまがいつまでもご自身の歯で食事を楽しめるようサポートしています。

資格・所属学会

・日本顎咬合学会 認定医 / 指導医
・近未来オステオインプラント学会(IPOI) 指導医
・国際口腔インプラント専門医学会(ICOI)
・スタディグループSAEY

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