総入れ歯の作成期間〜完成までの流れと各工程を詳しく解説

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総入れ歯の作成期間〜完成までの流れと各工程を詳しく解説

総入れ歯を初めて作ることになった方にとって、「どのくらいの期間がかかるのだろう」「どんな工程を経て完成するのだろう」という疑問や不安は尽きないものです。

歯を失ってしまった場合、入れ歯は食事や会話といった日常生活を取り戻すための大切な手段となります。

しかし、総入れ歯は「すぐに手に入るもの」ではありません。精密な型取りから咬合採得、試適、調整まで、複数の工程を経て初めて完成します。

今回は、総入れ歯の作成期間と各工程について、歯科医師の視点から詳しくお伝えします。

総入れ歯の作成期間はどのくらい?

総入れ歯の作成期間は、保険診療と自費診療で大きく異なります。

保険診療の場合、通常は1ヶ月から1ヶ月半程度で完成します。

一方、自費診療では2ヶ月から3ヶ月程度の期間が必要になることが一般的です。

なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?

保険診療では、使用できる材料や作製方法が決められています。そのため、最低限の機能を回復させることを目的とした入れ歯が作られます。

対して自費診療では、材料や作製方法に制限がありません。患者さま一人ひとりのお口に合わせた精密な入れ歯を作るため、型取りや調整により多くの時間をかけることができます。

また、歯科技工士との綿密な連携も自費診療の特徴です。細かい調整を重ねながら、フィット感の高い入れ歯を作り上げていくため、どうしても期間が長くなります。

ただし、期間が長いということは、それだけ丁寧に作られているということでもあります。完成後の調整が少なく済むという利点もあるのです。

総入れ歯作成の基本的な流れ

総入れ歯は、いくつかの工程を経て完成します。

それぞれの工程には重要な意味があり、省略することはできません。

初診と治療計画の立案

まず初診時には、お口の中の状態を詳しく診察します。

残っている歯の状態、歯茎の健康状態、顎の骨の状態などを確認し、総入れ歯が適しているかどうかを判断します。

もし歯周病や虫歯がある場合は、先にその治療を行う必要があります。また、抜歯が必要な歯がある場合は、抜歯後の歯茎が安定するまで待つこともあります。

治療計画が決まったら、保険診療か自費診療かを選択していただきます。それぞれの特徴や費用について、丁寧にご説明いたします。

型取り(印象採得)

総入れ歯作成の第一歩は、型取りです。

専門用語では「印象採得」と呼ばれるこの工程は、入れ歯の土台となる非常に重要な作業です。

保険診療では、既製のトレーを使用して型を取ります。一方、自費診療では、患者さま専用の個人トレーを作製してから、より精密な型取りを行います。

型取りの材料には、アルジネート印象材やシリコーン印象材などが使用されます。お口の中に材料を入れて数分待つと固まり、お口の形が正確に記録されます。

この型を元に石膏模型が作られ、それが入れ歯作製の基礎となります。

咬合採得(噛み合わせの記録)

次の工程は、咬合採得です。

これは、上下の顎の位置関係や噛み合わせの高さを記録する作業です。

型取りで作った模型の上に、ワックスでできた咬合床という装置を作ります。これをお口の中に入れて、適切な噛み合わせの位置を決定していきます。

顔の形や唇の張り具合、発音のしやすさなども確認しながら、最適な位置を探していきます。

この工程は、入れ歯の使い心地を左右する非常に重要なステップです。長年入れ歯を使っていた方の場合、以前の癖が残っていることもあるため、慎重に調整を行います。

試適(仮の歯並びの確認)

咬合採得で得られた情報をもとに、人工歯を並べた仮の入れ歯が作られます。

この段階で、実際にお口の中に入れて確認を行います。これが「試適」という工程です。

歯の大きさや色、並び方が適切かどうか、噛み合わせに問題がないかどうかを確認します。また、発音のしやすさや見た目の印象もチェックします。

患者さまにも鏡を見ていただきながら、ご希望に沿った仕上がりになっているか確認していただきます。

この段階で気になる点があれば、遠慮なくお伝えください。修正が可能な最後の機会です。

完成と装着

試適で問題がなければ、いよいよ入れ歯を完成させます。

ワックスの部分をレジンというプラスチック素材に置き換え、最終的な入れ歯が完成します。

完成した入れ歯を実際にお口の中に装着し、細かい調整を行います。痛みがないか、しっかり噛めるか、発音に問題がないかなどを確認します。

初めて入れ歯を使う方の場合、最初は違和感を感じることが多いです。しかし、これは正常な反応です。徐々に慣れていきますので、ご安心ください。

各工程にかかる期間の目安

それぞれの工程には、どのくらいの期間が必要なのでしょうか?

保険診療の場合

保険診療では、各工程を約1週間間隔で進めていきます。

初診から型取りまで:1週間程度

型取りから咬合採得まで:1週間程度

咬合採得から試適まで:1週間程度

試適から完成まで:1週間程度

このように、おおよそ4回の通院で完成します。つまり、トータルで1ヶ月から1ヶ月半程度の期間が必要です。

ただし、これは順調に進んだ場合の目安です。調整が必要な場合や、患者さまの都合で通院間隔が空いた場合は、もう少し長くかかることもあります。

自費診療の場合

自費診療では、より精密な作業を行うため、各工程に2週間から3週間程度の期間を設けます。

型取りも複数回行うことがあり、個人トレーの作製にも時間をかけます。

また、歯科技工士との連携も密に行うため、細かい調整に時間をかけることができます。

結果として、完成までには2ヶ月から3ヶ月程度の期間が必要になりますが、その分フィット感が高く、完成後の調整が少なく済むという利点があります。

患者さま一人ひとりのお口に合わせたオーダーメイドの入れ歯を作るためには、この期間が必要なのです。

完成後の調整期間も大切です

入れ歯は完成したら終わり、というわけではありません。

実は、完成後の調整期間も非常に重要なのです。

なぜ調整が必要なのか

入れ歯は、歯茎の上に乗せて使用するものです。

そのため、実際に使い始めてみると、当たって痛い部分が出てきたり、噛み合わせに違和感を感じたりすることがあります。

また、入れ歯を使い始めると、歯茎の形が少しずつ変化していきます。これは、入れ歯の圧力によって歯茎が沈み込むためです。

このような変化に対応するため、定期的な調整が必要になります。

調整の頻度と期間

完成直後は、1週間から2週間に1回程度の頻度で調整を行います。

痛みがある部分を削ったり、噛み合わせを調整したりして、快適に使えるようにしていきます。

3ヶ月から6ヶ月程度経過すると、入れ歯も安定してきます。その後は、3ヶ月から4ヶ月に1回程度のメンテナンスをお勧めしています。

定期的なメンテナンスを受けることで、入れ歯を長く快適に使い続けることができます。

抜歯が必要な場合の期間について

まだ歯が残っている方が総入れ歯を作る場合、抜歯が必要になることがあります。

この場合、どのような流れになるのでしょうか?

抜歯後の治癒期間

抜歯をした後、歯茎が安定するまでには一定の期間が必要です。

通常、抜歯後2週間から3週間程度で傷口は閉じますが、歯茎の形が安定するまでには1ヶ月から2ヶ月程度かかります。

この治癒期間を待ってから入れ歯を作ると、より精密な入れ歯を作ることができます。

即時義歯という選択肢

しかし、「抜歯後、歯がない期間があるのは困る」という方も多いでしょう。

そのような場合には、「即時義歯」という方法があります。

これは、抜歯前に型取りを行い、抜歯後を想定した入れ歯を事前に作っておく方法です。抜歯と同時に入れ歯を装着できるため、歯がない期間がありません。

ただし、即時義歯は抜歯前の状態で型を取るため、抜歯後の歯茎の変化に対応できないことがあります。そのため、頻繁な調整が必要になります。

また、歯茎が安定した後に、改めて入れ歯を作り直すことをお勧めする場合もあります。

保険診療と自費診療の違い

総入れ歯には、保険診療と自費診療という2つの選択肢があります。

それぞれの特徴を理解して、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。

費用の違い

保険診療の総入れ歯は、3割負担の方で8,000円から9,000円程度です。

一方、自費診療の総入れ歯は、使用する材料や作製方法によって異なりますが、20万円から80万円程度の費用がかかります。

費用面では大きな差がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

材質と機能の違い

保険診療では、使用できる材料が決まっています。

床の部分はレジンというプラスチック素材のみで、強度を確保するために厚みを持たせる必要があります。そのため、違和感を感じやすいという欠点があります。

自費診療では、金属床や特殊なレジンなど、さまざまな材料を選ぶことができます。薄く作ることができるため、違和感が少なく、熱も伝わりやすいため食事を美味しく感じられます。

また、審美性にも違いがあります。自費診療では、天然の歯に近い色や形を再現することができ、入れ歯だと気づかれにくい仕上がりになります。

作製期間と精度の違い

保険診療は約1ヶ月で完成しますが、自費診療は2ヶ月から3ヶ月かかります。

しかし、時間をかけた分だけ精度が高く、フィット感に優れた入れ歯が完成します。

完成後の調整回数も、自費診療の方が少なく済む傾向があります。

入れ歯を長持ちさせるために

せっかく作った入れ歯を長く快適に使うためには、適切なケアが欠かせません。

毎日のお手入れ

入れ歯は毎食後、必ず外して洗浄しましょう。

食べ物のカスが残っていると、細菌が繁殖して口臭の原因になります。また、歯茎に炎症を起こすこともあります。

入れ歯専用のブラシを使い、流水で丁寧に洗います。歯磨き粉は使わないでください。研磨剤が含まれているため、入れ歯に傷がつく原因になります。

就寝時は入れ歯を外し、専用の洗浄剤に浸けておくことをお勧めします。これにより、細菌の繁殖を抑え、清潔な状態を保つことができます。

定期的なメンテナンス

3ヶ月から4ヶ月に1回は、歯科医院でメンテナンスを受けましょう。

入れ歯の状態をチェックし、必要に応じて調整を行います。また、歯茎の健康状態も確認します。

定期的なメンテナンスを受けることで、入れ歯を長く使い続けることができます。

入れ歯の寿命と作り直しの時期

入れ歯の寿命は、一般的に5年から7年程度と言われています。

ただし、これは適切なケアとメンテナンスを行った場合の目安です。

歯茎の形は年齢とともに変化していきます。そのため、入れ歯と歯茎の間に隙間ができて、フィット感が悪くなることがあります。

このような場合は、入れ歯の裏打ちを行ったり、新しく作り直したりする必要があります。

なお、保険診療では、前回作製してから6ヶ月以内は新しい入れ歯を作ることができないという制限があります。

まとめ

総入れ歯の作成期間は、保険診療で1ヶ月から1ヶ月半程度、自費診療で2ヶ月から3ヶ月程度です。

型取り、咬合採得、試適、完成という工程を経て、精密な入れ歯が完成します。それぞれの工程には重要な意味があり、省略することはできません。

完成後も定期的な調整とメンテナンスが必要です。適切なケアを行うことで、入れ歯を長く快適に使い続けることができます。

当院では、患者さま一人ひとりのお口の状態やご希望に合わせて、最適な入れ歯をご提案いたします。

総入れ歯についてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。丁寧な診査・診断のもと、しっかり噛める入れ歯をお作りいたします。

総入れ歯の作成期間が気になる方へ

総入れ歯は、お口の状態確認や型取り、噛み合わせの確認などを重ねながら進めます。初診では流れや通院回数の目安、必要な検査内容もご案内しています。

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まずは完成までの流れを確認しましょう

作成期間はお口の状態や調整回数によって変わります。通院ペースや必要な工程を知りたい方は、診察時にご相談ください。

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【著者情報】

大澤一茂歯科医院 院長:大澤 一茂(おおさわ かずしげ)
  歯学博士 / 日本顎咬合学会 指導医

城西歯科大学(現:明海大学)歯学部卒業後、同大学歯周病学教室に入局。1995年に歯学博士号を取得。
日本顎咬合学会認定医・指導医、近未来オステオインプラント学会(IPOI)指導医などを務め、国内外の学会での論文発表や症例発表を積極的に行っています。
インプラントや咬合治療の分野を中心に研鑽を重ね、シーラシステムの啓蒙活動や著書の執筆など、歯科医療の発展にも取り組んでいます。

患者さまが「しっかり噛める喜び」を取り戻し、日常生活の中で食事や会話を楽しめることを大切にしています。
特に総入れ歯治療では、合わない入れ歯でお困りの方が快適に噛めるようになることで、家族と同じ食事を楽しめる喜びを取り戻された患者さまの笑顔が、日々の診療の大きな励みとなっています。

また、水戸市の地域医療に貢献するため、特別養護老人ホームへの訪問歯科診療や定期検診にも取り組み、患者さまと長くお付き合いできる歯科医院を目指しています。
お口の健康を通じて、地域の皆さまがいつまでもご自身の歯で食事を楽しめるようサポートしています。

資格・所属学会

・日本顎咬合学会 認定医 / 指導医
・近未来オステオインプラント学会(IPOI) 指導医
・国際口腔インプラント専門医学会(ICOI)
・スタディグループSAEY

 

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