総入れ歯の作成期間〜完成までの流れと各工程を詳しく解説

「総入れ歯ができるまで、どのくらいかかるの?」
そう不安に思う方は、とても多くいらっしゃいます。歯を失うという経験は、誰にとっても大きな出来事です。食事ができるか、見た目はどうなるか…さまざまな心配が重なる中で、「いつ普通の生活に戻れるのか」という疑問は当然のことです。
総入れ歯の作成期間は、保険診療か自費診療かによって大きく異なります。一般的に、保険診療では約1ヶ月、自費診療では2〜3ヶ月が目安とされています。ただし、抜歯が必要な場合や口腔内の状態によっては、さらに時間がかかることもあります。
この記事では、総入れ歯が完成するまでの流れと各工程を、歯学博士として長年にわたり入れ歯治療に携わってきた立場から、丁寧にご説明いたします。
こんなお悩みはありませんか?
- 総入れ歯ができるまでの期間がどのくらいかかるか知りたい
- 何回通院すればよいか、スケジュールの目安を把握したい
- 完成までの各工程を事前に知っておきたい
初診では治療の流れと通院回数の目安をわかりやすくご説明します。
総入れ歯の作成期間〜保険診療と自費診療の違い
まず押さえておきたいのは、期間の違いです。
保険診療の総入れ歯は、おおよそ1ヶ月前後で完成します。各工程の間隔は約1週間が目安で、型取り・噛み合わせ確認・仮並べ・装着という流れを比較的スムーズに進められます。費用は3割負担で数千円〜1万円台程度になることが多く、経済的な負担が少ない点が特徴です。
一方、自費診療の総入れ歯は2〜3ヶ月かかります。工程ごとの間隔が2〜3週間と長めになるのは、より精密な型取りや調整を行うためです。歯科技工士との綿密な連携が必要で、患者さまお一人おひとりの口腔内に合わせたオーダーメイドの入れ歯を製作します。
なぜ自費診療に時間がかかるのか。それは「完成度」へのこだわりが根本的に異なるからです。保険診療では使用できる素材や製作方法に制限があります。しかし自費診療では、そうした制限がなく、患者さまの口腔内に最適な素材・設計を自由に選択できます。
当院(大澤一茂歯科医院)では、保険診療・自費診療の両方に対応しております。患者さまのご希望や口腔内の状態を丁寧に確認した上で、最適な治療方針をご提案いたします。

総入れ歯が完成するまでの流れ〜各工程を詳しく解説
総入れ歯の製作は、複数の工程を経て完成します。
各ステップには明確な意味があります。一つひとつの工程を丁寧に積み重ねることで、長く快適に使える入れ歯が生まれるのです。
第1工程〜一次印象採得(最初の型取り)
まず、既製のトレーを使って口腔内の大まかな型を採ります。
この段階では、お口全体の形状を把握することが目的です。採取した型をもとに石膏模型を作製し、次の工程で使用する「個人トレー」の製作に進みます。既製トレーはあくまで汎用品ですので、この段階の型取りは「下準備」と考えていただくとわかりやすいでしょう。
第2工程〜個人トレー作製と二次印象採得(精密な型取り)
患者さまの口腔内に合わせた専用のトレーを技工室で製作します。
この個人トレーを使って、より精密な型取りを行うのが「二次印象採得」です。一次印象よりも細部まで正確に型を採ることができ、入れ歯の「土台」となる精密な石膏模型が完成します。自費診療ではこの工程に特に時間をかけ、口腔内の微細な形状まで再現します。
第3工程〜咬合採得(噛み合わせの確認)
噛み合わせの高さや前後のバランスを決める、非常に重要な工程です。
ロウで作った「咬合床」を口腔内に入れ、上下の顎の間隔・前歯の出方・唇や頬の張り具合などを確認します。長年の習慣で顎が前に出るクセがある方など、患者さまによって調整内容は大きく異なります。この工程での精度が、最終的な入れ歯の使い心地を大きく左右します。
第4工程〜仮並べ(歯並びの確認)
人工歯をワックスの上に並べた「仮の入れ歯」を口腔内に入れて確認します。
噛み合わせ・高さ・前歯の出方に違和感がないかをチェックし、患者さまにも歯並びや見た目をご確認いただきます。「もう少し自然な感じにしたい」「前歯の形を変えたい」といったご要望をこの段階でお伝えいただくことが可能です。ご満足いただけたら、次の仕上げ工程に進みます。
第5工程〜仕上げ・装着
ワックスをレジン(プラスチック)などの材質に置き換え、入れ歯を完成させます。
完成した入れ歯を実際に装着し、噛み合わせや違和感がないかを最終確認します。装着後も、口腔内の状態に合わせた微調整を重ねていきます。特に自費診療の場合は、完成後の調整が比較的少なく済む傾向があります。
抜歯後〜歯がない期間の対処法
抜歯が必要な場合、入れ歯が完成するまでの間が心配になりますよね。
抜歯直後は歯茎に傷口ができ、出血や腫れが生じます。この状態で入れ歯を製作しても、歯茎の形が変化するため正確な型取りができません。そのため、抜歯後は歯茎が安定するまで一定期間待つ必要があります。
即時義歯〜抜歯当日に仮の入れ歯を装着する方法
「歯がない状態で過ごすのはどうしても困る」という方には、「即時義歯」という選択肢があります。
即時義歯とは、抜歯前に事前に型取りを行い、抜歯と同日に仮の入れ歯を装着する方法です。前歯など見た目に影響する部分を抜歯する場合に特に有効で、社会生活への影響を最小限に抑えられます。ただし、あくまで仮の入れ歯であり、歯茎が安定した後に本格的な入れ歯を製作する必要があります。
歯茎が安定するまでの期間
抜歯後、歯茎が完全に落ち着くまでには一般的に1〜3ヶ月程度かかります。
この期間は、歯茎の傷が治癒し、骨の吸収が落ち着くのを待ちます。奥歯の場合は仮歯なしで経過を見ることもありますが、前歯など見える部位では仮歯などで対応するのが通常です。歯茎が安定した後に本格的な型取りを行うことで、長く使える入れ歯が完成します。
当院が大切にしている「準備修正治療」とは

入れ歯治療で見落とされがちな、でも非常に重要なステップがあります。
それが「準備修正治療」です。
オーダーメイドの衣服を作る際には、着る方の体にフィットさせるために「仮縫い」を行います。入れ歯の準備修正治療も、これと全く同じ考え方です。入れ歯を調整する過程で、患者さまの口腔内の状態を整え、入れ歯が正しく機能するための土台を作ります。
この工程を丁寧に行うことで、完成後の入れ歯が格段に使いやすくなります。逆に、準備修正治療を省略してしまうと、完成後に「痛い」「外れやすい」「噛めない」といったトラブルが生じやすくなります。当院では、この準備修正治療を入れ歯製作の重要なステップと位置づけ、しっかりと時間をかけて行っています。
当院の総入れ歯〜ブレード臼歯とイボカップ方式の特徴
「入れ歯を作ったのに、うまく噛めない」
そういったお声を、これまで多くの患者さまからお聞きしてきました。なぜ、ただ歯の形を再現しただけの入れ歯では噛めないのでしょうか。
天然歯がしっかり噛めるのは、歯の根(歯根)があるからです。歯根は噛んだときの力を受け止め、適度に分散する役割を担っています。入れ歯の場合、この歯根がありません。つまり、歯の形だけを再現しても、噛む力を支えるものがないのです。
ブレード臼歯〜弱い力でも効率よく噛める設計
当院では、自費診療の総入れ歯に「ブレード臼歯」を採用しています。
ブレード臼歯とは、奥歯の噛み合う面に金属のブレード(刃)を取り付けた人工歯です。歯根がなく力を受け止められない状態でも、弱い力で効率よく物を噛み切り、細かくできるよう設計されています。噛んだときに粘膜組織にかかる力を抑えることで、長期間にわたって快適に使い続けられます。また、入れ歯のぐらつきを抑制する効果もあります。
「歯がない状態だからこそ、噛める工夫が必要」という考え方が、ブレード臼歯の根本にあります。天然歯と同じ方法では噛めない。だからこそ、状況に合わせた工夫が大切なのです。
イボカップ方式〜高密度で臭いにくい入れ歯床
入れ歯の「床」(歯茎に接する部分)の品質も、使い心地に大きく影響します。
当院では「イボカップ方式」を採用し、特殊なレジンを使用して入れ歯床を製作しています。イボカップ方式では、レジンを硬化させる際に加圧補充を行うことで、高密度・高精度で丈夫な入れ歯床が完成します。一般的なレジン床と比較して気泡が少なく、臭いや汚れが付きにくく、長く使っても変質しにくいのが大きな特長です。
入れ歯特有の臭いが気になる方にも、安心してお使いいただけます。
通院スケジュールや期間について、相談だけでもOKです。お仕事の都合も考慮してご提案します。
完成後のメインテナンス〜長く使い続けるために
入れ歯が完成したら、それで終わりではありません。
お口の中は日々変化します。顎の骨や歯茎も、時間とともに少しずつ変化していきます。入れ歯を快適に使い続けるためには、定期的なメインテナンスが欠かせません。
当院では、1〜2ヶ月に1回のメインテナンスをお勧めしています。メインテナンスでは、噛み合わせのチェックだけでなく、歯茎や残っている歯など、お口全体の健康状態を確認します。歯茎の変化に合わせて入れ歯を調整することで、同じ入れ歯を長期間にわたって快適に使い続けることが可能です。
当院でも、歯茎の変化に合わせて調整しながら、長く快適に使い続けてくださっている患者さまが多数いらっしゃいます。入れ歯は「作って終わり」ではなく、「作ってからが大切」なのです。
まとめ〜総入れ歯の作成期間と各工程のポイント
総入れ歯の作成期間と流れについて、ここまでご説明してきました。
改めて要点を整理します。
- 保険診療の総入れ歯は約1ヶ月、自費診療は2〜3ヶ月が目安
- 型取り→噛み合わせ確認→仮並べ→装着という流れで製作が進む
- 抜歯がある場合は、歯茎が安定するまで1〜3ヶ月の待機期間が必要
- 即時義歯を活用すれば、抜歯後も歯がない状態を避けられる
- 準備修正治療を丁寧に行うことで、完成後の使い心地が大きく変わる
- ブレード臼歯・イボカップ方式など、工夫を凝らした入れ歯で快適な噛み心地を実現
- 完成後も1〜2ヶ月に1回のメインテナンスで長く使い続けられる
入れ歯治療は、患者さまの生活の質に直結する大切な治療です。「どんな入れ歯が自分に合っているのか」「どのくらいの期間がかかるのか」など、疑問や不安はどうぞ遠慮なくご相談ください。
水戸市赤塚の大澤一茂歯科医院では、保険診療・自費診療の両方に対応し、患者さまお一人おひとりに最適な入れ歯をご提案しています。長年にわたる入れ歯治療の実績と、ブレード臼歯・イボカップ方式などの独自の技術で、快適に噛める入れ歯づくりをサポートいたします。
ぜひ一度、ご相談にいらしてください。
大澤一茂歯科医院 総入れ歯の詳細はこちらからご確認いただけます。
著者情報
院長 大澤一茂

歯学博士・顎関節咬合学会専門医として、国内外の数多くの学会へ参加しています。論文発表や症例発表も積極的に行い、シーラシステムの啓蒙活動も実施。また、著書も数多くあり、精力的に知識や技術の研鑽を続けています。
- 経歴
- 1983年城西歯科大学(現:明海大学)歯学部卒業
同大学歯周病学教室入局 - 1995年歯学博士(学位取得)
- 1999年日本顎咬合学会認定医
- 2003年国際口腔インプラント専門医学会(ICOI)認定医
- 2007年日本顎咬合学会指導医
- 2009年近未来オステオインプラント学会(IPOI)指導医
- 1983年城西歯科大学(現:明海大学)歯学部卒業
- 資格
日本顎咬合学会認定医
日本顎咬合学会指導医
近未来オステオインプラント学会(IPOI)指導医 - 所属学会
スタディグループSAEY
日本顎咬合学会
近未来オステオインプラント学会(IPOI)
国際口腔インプラント専門医学会(ICOI)